「ワキガ」は遺伝するの?|遺伝する確率や、その後の対処法を解説
もしあなたの「ワキガ」が子供に遺伝してしまったらどうしますか?
子どもが小さいときは大丈夫かもしれませんが、大きくなるにつれて、どこかで「ワキガ」について話さなければいけません。学校の友達に、「ワキガ」のことでバカにされてしまう可能性もあるでしょう。
親としては、子供が「ワキガ」で苦しむ顔は見たくないはず。
では、そんなとき、どうすればよいのか。
そのようなことについてここでは詳しく説明していきます。
なお、「ワキガ」についての全体像を知りたい場合は、 ワキガとは何のこと?|ワキガの症状、原因、治療法をかんたんに説明 を見てください。
・「ワキガ」って遺伝するの??
あまり言いたくないのですが、残念ながら、「ワキガ」は遺伝してしまいます。
「ワキガ」は「アポクリン汗腺」という汗腺が原因でおきるものであり、「ワキガ」の対策としては、 少しの努力で改善できる、「ワキガ」の4つの対策方法 ですることはできますが、「ワキガ」自体を治すには、手術する他に治す方法はありません。
しかし、「アポクリン汗腺」の数や大きさ、活動量には個人差があるため、一般的には次のような特徴がある場合に、「ワキガ」であることがわかります。
・汗腺の数が多い
・汗腺が大きい
・汗腺の活動量が多い
そして、上記の「3つのワキガの特徴」は、そのまま子供に遺伝してしまうことがわかっています。
・子供に遺伝する確率はどのくらい?
「ワキガ」が子供に遺伝する確率は、次のようになっています。
・「片親のみ」ワキガ体質である場合・・・50%
・「両親ともに」ワキガ体質である場合・・・80%
遺伝には、形質が現れやすい優性遺伝と、形質が現れにくい劣勢遺伝がありますが、「ワキガ」は優性遺伝であり、「親から遺伝しやすい特徴のひとつ」とされています。
ですので、「片親のみがワキガ」である場合は、子供が「ワキガ」にならずに済むかもしれませんが、「両親ともワキガ」である場合は、子供も「ワキガ」である可能性は高いでしょう。
遺伝してしまった子供は複雑な思いです。
・両親が「ワキガ」でなくても発生することも
先ほどは、両親のうち、片方でも「ワキガ」持ちであるとき、子供も「ワキガ」を発生してしまうといいましたが、両親が「ワキガ」でない場合も、子供に「ワキガ」が発生してしまうことがあります。
このとき、発症原因となっているのは、通常の「ワキガ」と同じように、食生活や生活習慣の乱れ、日々のストレスなどが原因になります。
特に、「脂っこい食事や肉、チーズなど」を多く摂取することで、「ワキガ」の原因を作り出す「アポクリン汗腺」を刺激してしまいます。
汗腺を刺激してしまった結果、「アポクリン汗腺」が肥大化してしまい、「ワキガ」を作り出す要因を後押ししてしまうことになります。
また、何らかの原因で、「アポクリン汗腺」が多くなる「ワキガ」の可能性もあります。その場合は、「試験切開」という検査をしなければ、診断はできないでしょう。
・このニオイが「ワキガ」なの?体臭と「ワキガ」を見分ける方法
子どもの体から発するニオイが体臭なのか、それとも「ワキガ」のニオイなのかを判断することは、なかなか難しいと思います。
もし、2つのニオイを区別することができたら、具体的な対策を取ることでしょう。そこで、体臭とワキガをかんたんに区別する、2つの方法をおすすめします。
それは、
1 耳垢(みみあか)が湿っていないか
2 服の脇が黄ばんでいる
この2つです。
1つずつ説明していきます。
なお、「ワキガ」のニオイについて詳しく知りたいという方は、気になる「ワキガ」のワキ臭(腋臭)は7つのタイプに分類できる をご覧ください。
1 耳垢が湿っていないか
子どもの耳垢を確かめて、もし耳垢が湿っていたら「ワキガ」が発生している可能性が高いでしょう。
耳垢が湿っている原因の1つとして、「アポクリン汗腺」から分泌される汗が関係しています。耳の中に「アポクリン汗腺」が多いほど、耳垢が湿りやすくなっているのです。
また、耳の中の「アポクリン汗腺」が多い人は、わきの下にも「アポクリン汗腺」が多くある可能性が高い傾向があります。
つまり、わきの下にある「アポクリン汗腺」が多い=「ワキガ」体質であるということに繋がるのです。
2 服の脇が黄ばんでいる
服の脇が黄ばんでいるときも、「ワキガ」の可能性は高いと言えます。
「アポクリン汗腺」から出る汗には、「リポフスチン」という色素成分が含まれています。この「リポフスチン」は、「ワキガ」症状が強い人ほど、多く含まれている成分になります。
つまり、服の脇の黄ばみが強いほど、「ワキガ」体質である可能性が高いということになります。
しかし、食生活の偏りやストレス、生活習慣の乱れなどで、汗腺機能が低下してしまい、汗と一緒に鉄分が排出されて、黄ばみになることもあります。
その場合は、「ワキガ」が原因ではなく、単に、汗じみである可能性が高いでしょう。
・子供が自分で「ワキガ」だと悟る時期はいつ?
では、子供が自分で「ワキガ」を悟る時期は、いつ頃になるのか。
「ワキガ」の原因となる「アポクリン汗腺」は、およそ、第二次性徴期の頃から成長し始めます。
(第二次性徴期)
男の子:9~13歳
女の子:7~12歳くらい
このくらいの年齢になると、子供は「自分のワキガではないのか?」と思いだすので、その時期になったら、親御さんは、子供の「ワキガ」に敏感に察してあげれるようにしましょう。
・子供が「ワキガ」だと気づいたとき、どう対応すればいいの?
子どもが自分の「ワキガ」に気づいてしまったときは、以下のような対応をしてあげてください。
1 ホルモンバランスを整える
2 食生活の見直し
3 クリームや発汗剤などの専門商品によるケア
4 ひどい場合は、病院で相談
上記のような対応をすることによって、「ワキガ」の症状を和らげることができます。
順を追って見ていきます。
1 ホルモンバランスを整える
寝不足など、生活リズムが崩れると、体のホルモンバランスをも崩れ、ニオイの悪化につながります。
ですから、早寝早起きを心がけるなど、規則正しい生活を送るようにしましょう。また、適度な運動をすることも、新陳代謝を促すのでおすすめです。
2 食生活の見直し
油っぽい食べ物や肉類、ファーストフード等は、「ワキガ」のニオイを強くしてしまいます。
そのため、野菜を中心に、植物性脂質や食物繊維、アルカリ性食品を意識して、食事メニューに取り入れることをおすすめします。
次のような食べ物を、積極的に食べさせてあげるようにしましょう。
野菜・・・ごぼう、さつまいも、ほうれん草、にんじんなど
海藻・・・もずく、めかぶ、ひじきなど
果物・・・りんご、バナナ、グレープフルーツなど
油・・・ごま油、オリーブオイル
その他・・・大豆、納豆、梅干し等
こんな感じです。
食生活を改善することで、「ワキガ」のニオイを軽減させることにつながるでしょう。
3 クリームや制汗剤などの専門商品によるケア
汗をかいたら、こまめに拭くなど、体を清潔に保つことも重要になってきます。
さらに、生活習慣や食生活を改善することに加えて、クリームや制汗剤でケアをしてあげると効果的です。
子どもでも、かんたんにケアすることのできるデオドラント商品はたくさんあるので、使いやすいものを選んであげるとよいでしょう。
「ワキガ」に効果的なクリームについては、「ワキガ」対策にオススメな3つの「ワキガクリーム」をご紹介 をご覧ください。
4 ひどい場合は病院相で相談
自分で行える対策をしても、なかなかニオイを改善できない場合は、病院へ相談するようにしましょう。
一般的に、病院では、飲み薬や塗り薬、手術、ボトックス注射等の治療をすることができます。
しかし、手術やボトックス注射のような治療は、痛みを伴いますので、お子さんにはリスクが大きいでしょう。
また、「アポクリン汗腺」は思春期の間に発達し続ける可能性があるので、手術しても高確率で再発してしまうリスクもあります。
ですが、病院で相談することで、注意点や効果的な治療法をアドバイスしてもらえることも多いので、最終手段として、病院で診断してもらうことをおすすめします。
・世界的に見ると、「ワキガ」率は高い
日本の「ワキガ」体質は、一般的に10%前後だと言われています。
しかし、世界的に見ると、欧米人では80%、黒人に関しては、ほぼ100%の人が「ワキガ」体質だと言われています。
欧米人や黒人の人たちは、体のニオイが強いことが普通だと思ているので、「ワキガ」で悩んでいる割合は、日本人よりはるかに少ないことがわかっています。
「ワキガ」や体臭は、人間にとっては生理的現象ですので、過度に気にしすぎないように子供に教えてあげることも大切です。
・気にしすぎると、ニオイが強くなる?
「ワキガ」のニオイを気にしすぎるあまり、脇に意識が集中してしまい、大量の汗の吹き出しにつながってしまうケースも少なくありません。
大量の汗が吹き出してしまった結果、余計にわきのニオイが強くなってしまう可能性もあるため、「ワキガ」を気にしすぎることは避けましょう。
また、自分のわきをきにしすぎて、ストレスになってしまい、逆に解毒機能が低下し、ニオイ成分が汗と一緒に出てしまいます。
「ワキガ」のケアは必要ですが、あまりニオイに敏感になりすぎると、逆効果になってしまうので、最低限の制汗や抑臭のケアはしたうえで、気にすることのないようにしましょう。
・「ワキガ」は遺伝するが、症状を和らげることはできる
今回のことをまとめると、
・「ワキガ」は遺伝する(100%ではない)
・「ワキガ」は「アポクリン汗腺」が原因で起こる
・子供が「ワキガ」だった場合、対応してあげる
・対策の仕方によっては症状を和らげることができる
・「ワキガ」の最低限のケアをして、気にしすぎないようにする
このような感じになります。
「ワキガ」の体質自体は、残念ながら変えることはできませんが、後天的にどれだけ「ワキガ」の発生原因を排除できるかが大切になってきます。
もし子供が思春期になって「ワキガ」を発症してしまったとしても、ホルモンバランスを整えたり、食生活を改善、専用のデオドラントクリームでケアをしたりと、後天的に対策をとることができます。
「ワキガ」に困っている人がよく使うクリームにつきましては、 「ワキガ」対策にオススメな3つの「ワキガクリーム」をご紹介 を参考にしてください。
子どもが「ワキガ」で困っていても、ゆっくりと子供とコミュニケーションを取りながら、対策方法を取り入れていくようにしてください。
なお、「ワキガ」の詳しい意味に関する記事を、以下に載せておきますので、参考にしてください。